2016年2月15日掲載
アローハ! フリーランスライターの森谷です。
夕暮れ時になると、ワイキキビーチではあちらこちらからハワイアン・ミュージックが聞こえてきます。
裏声を使う男性の艶のある歌声と緩やかなスチールギターの音色。
明るくて優しくて、でも、どこかせつないウクレレの音色。
海から聞こえる波の音と調和して、ハワイに居ることを実感させてくれる瞬間です。
このハワイ独特の音楽が生まれたのは、ハワイ王国の王族たちが音楽好きであったことがきっかけだと言われています。
もともとハワイ古来の音楽は、自然や神に祈りを捧げるためのもので、チャント(詠唱)とフラ、そして打楽器で表現されていました。ハワイ王国時代の19世紀前半、ハワイにやってきた宣教師たちが披露した賛美歌に影響を受けた王族たちは、ピアノやギターを使った西洋音楽を学び始めます。これが現代のハワイアン・ミュージックの始まりといわれています。
現在のハワイ州歌は、7代目の王、カラカウアが国歌として作詞したものですし、ハワイの歌で最も有名な「アロハ・オエ」は、カラカウアの妹で王国最後の女王、リリウオカラニが作曲した歌です。ホノルルのダウンタウンに建つリリウオカラニの像は左手に「アロハ・オエ」の楽譜を握りしめ、彼女が余生を過ごしたワシントン・プレイスには、「アロハ・オエ」の歌碑があります。
19世紀後半になると、ハワイアン・ミュージックはアメリカ本土からやってきた新しい音楽にも影響され変化していきます。そして、世界もその魅力に気付き始めます。20世紀初頭、ハリウッド映画やラジオ番組でハワイの音楽が広く紹介されると、世界の人々はそのエキゾチックなメロディに「楽園ハワイ」への憧れを募らせました。
その後もポップスやR&B、レゲエなどの影響を受けたコンテンポラリー・ハワイアン・ミュージックが誕生するなど、ハワイの音楽は進化し続けています。
ハワイの歴史に思いをはせながら聴くのもよし。時にはトロピカルドリンクを片手に演奏に酔いしれるのもよし。 ハワイ語や英語で歌われる言葉の意味はわからなくても、音楽に込められた思いは感じられるはずです。 ぜひ、ハワイの音楽に触れてみてください