2017年5月10日掲載
アローハ! フリーランスライターの森谷です。
「日立の樹」があるモアナルア・ガーデン。
緑豊かな園内にあるさまざまな植物の中から、今回はハワイの人たちの暮らしに根づく、伝統的な植物に注目したいと思います。
こちらはコテージ隣の池で栽培されているタロイモです。
ハワイ語で「カロ」 (kalo)と呼ばれるタロイモは、ハワイへ渡ったポリネシアの人々が主食として持ち込んだといわれています。また、ハワイの気候や土壌が栽培に適していたこと、そして栄養価が高い食物であることから、大切に育てられてきました。
写真中央の、さじが置かれた器に入っているのが「ポイ」(poi)です。タロイモを蒸し、水を加えながら粘り気が出るまですりつぶした薄紫色の「ポイ」は、今も米やパンと並ぶ、ハワイの人たちの主食になっています。
お祝いのパーティーも旅行者向けのディナーショーも、この「ポイ」がなければ始まりません。特に高校の卒業パーティーが行われる今の季節(5〜6月)は、最も「ポイ」が食べられる時期なのだそうです。
そして、こちらはブレッドフルーツです。日本語の「パンの実」という名でご存じの方も多いかもしれません。この果実はハワイ語で「ウル」 (ulu)と呼ばれます。
手のひらサイズほどの緑色の実は丸ごと蒸したり、ソテーしたり、タロイモ同様に「ポイ」にすることもあります。ハワイでは、タロイモが育たない地域での代用食だったそうです。
「ノニ」 (noni)もハワイの人たちにとって大切な植物です。こちらもポリネシアの人々が持ち込んだもので、薬として用いられていました。ボコボコとしたマンゴーほどの大きさの実がなり、熟した果実は発酵して柔らかくなり強烈な臭いを発します。現在では、日本でも健康食品としてジュースやサプリメントが販売されていますね。
トロピカルフラワーのような華やかさはありませんが、どれもハワイの文化を語る上で欠かせない植物で、モアナルア・ガーデンにも受け継がれています。