2019年4月10日掲載
アローハ! フリーランスライターの森谷です。
ハワイに到着した時、空港やホテルなどで「Aloha」の挨拶とともに首にかけられる「レイ」。ひんやりした生花の感触と、花の香りがふんわりと漂う、ハワイならではの歓迎の風習に気持ちが高まり、長旅の疲れも吹き飛んでしまう瞬間です。
レイは、ハワイの代表的な伝統文化のひとつです。古代からハワイでは、植物には神が宿り、それを首にかけることで悪霊を遠ざけることができると信じられていました。儀式や魔除けに使われ、使用する花・葉・実の種類や色によって意味やメッセージがあるといわれています。フラを踊る人たちは、その様式や歌詞の意味に合わせてレイの材料や作り方を考慮し、デザインを決めるそうです。
レイは、ハワイの人々にとって歓迎や別れのシーン、誕生日、結婚式、卒業式などの記念日に大切な気持ちを伝えるアイテムとして欠かせないものです。ホノルルのチャイナタウンには老舗のレイショップがいくつかあり、毎朝手作りしたレイを冷蔵庫に並べて販売しています。また、シンプルなオーキッド(ラン)のレイであれば、ワイキキのスーパーマーケットやお花屋さんでも手に入ります。
ハワイでは、受け継がれてきたレイの伝統文化をたたえ、労働者の日「メーデー(5月1日)」を「レイデー (LEI DAY)」と定めて毎年さまざまなイベントが行なわれています。
特に注目を集めるのが、今年で92回目を迎えるホノルル市主催の「レイデー・セレブレーション」です。会場は、ワイキキのカピオラニ公園。レイ作りの腕前やフラ、アロハスピリットを伝える能力などの厳しい審査基準によって選ばれたレイ・クイーンとプリンセスの任命式、レイ・コンテスト、フラやハワイアンのライブのほか、レイ作りのワークショップなども開催され、一日中楽しむことができます。
なかでも、ハワイ各島のレイ・メーカーが腕を競うレイ・コンテストは必見。テーマ、カラーなど部門別の審査が午前中に行われ、午後には、各部門の入賞作品と最優秀市長賞作品がお披露目となります。小さな花やつぼみを土台に糸で縫い付けたり、ヤシの木の繊維に花を巻きつけたりする芸術性の高い作品は、間近で見るとその美しさに驚かされます。
当日は、多くのハワイの人々がレイを身に着け「レイデー」をお祝いします。今年、日本では新元号がスタートする日。新しい元号は「令和」=「レイワ」で、ちょうど「レイ」の文字が含まれていますね。ハワイと日本の伝統と文化に思いを寄せる一日になりそうです。