2019年12月10日掲載
アロハ! ハワイを拠点にフリーアナウンサーとして活動している瀬川慶(KEI SEGAWA)です。
ハワイで年間を通じて開催されるイベントの中で、特に人気が高いのが12月の第2日曜日に開催されるホノルルマラソンです。実は私、この大会のアナウンスを毎年担当していて、今年もその予定です。スタート時には号砲を撃つ方、担当レースディレクターさんと一緒に、スタート地点にあるリフトの上からレースが始まる様子を見ます。
このマラソンへは日本人の参加者も多いですが、地元ハワイの方はもちろん、アメリカ、カナダ、ヨーロッパ、オーストラリアなど世界中からランナーたちが集まります。アロハスピリッツと呼ばれる、他者への友愛や尊敬の心にあふれる大会で、参加者が競い合うのではなく、みんなで楽しめることも人気の秘密です。
スタート地点はアラモアナ通り。いつもは車や観光客でにぎわっていますが、この日ばかりは早朝にもかかわらずボランティアや警察が出動する中、約3万人のランナーが集まります。先頭には車椅子ランナーと上位を狙う”エリート”と呼ばれるランナー、その後ろはそれぞれの予想フィニッシュタイムに合わせてスタートエリアが分かれていて、自分に合ったエリアで待機します。
まだ夜が明ける前の午前4時55分に、車椅子のレースがスタートします。フルマラソンと同じコースを走りますが、車椅子マラソンの例年の優勝タイムは男子が約1時間35分、女子が1時間50分程度だそうです。レース前半と終盤に差し掛かるダイヤモンドヘッドは最大高低差が約40mもあり、このコースでこのタイムは、精神的・肉体的に相当鍛えていないと出せません。
そして5分後の午前5時、エリートランナーを先頭に3万人が一斉にスタートします。上り・下りの全車線と中央分離帯がランナーで埋め尽くされている様子は、圧巻のひとことです。
スタートから数えて全員がスタートゲートを通過するまでに約45分かかります。しかし、盛大に打ちあがる花火を見て楽しんでいる方がほとんど。早朝にもかかわらずランナーの皆さんは、とてもハイテンションで、スタート地点ですでに仲間を作っている方もたくさんいらっしゃるそうです。
最初は楽しげな様子の皆さんも、42.195kmという長い道のりはさすがに辛そう。それでもカピオラニ公園のフィニッシュ地点に向かう直線に差し掛かると、自然に笑顔がこみあげてきています。
年齢や国籍の壁を越えた出会いと感動があるホノルルマラソン。一人ひとりが、爽やかな風と美しいハワイの景色の中で繰り広げられる、42.195kmのドラマの主役になれるのです。