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日立の樹オンライン

現在放映中の第9代CM(2005年〜現在)の制作にまつわる裏話をご紹介します。

モンキーポッドが「日立の樹」になるまで

現在放映されているテレビCMの「日立の樹」は、アメリカ合衆国ハワイ州オアフ島のモアナルア・ガーデンにある、樹齢およそ130年といわれるモンキーポッドです。

初代の「日立の樹」はアニメによるものでしたが、「技術やシステムを語るCMだからこそ、命ある本物の木を使いたい」という考えから、スタッフは、イメージに合った木を探し始めました。

しかし、なかなかイメージ通りの木が見つからず、スタッフの苦労が続いていたある日、モアナルア・ガーデンの端にある水路近くで一休みしていたスタッフが何気なく振り向くと、逆光のなか、草むらの向こうに浮かぶモンキーポッドが目に入りました。太い幹の上に緑の傘を広げたようなその姿は、まさにCMで伝えたかったイメージそのもの。こうして、モンキーポッドが、本物の木としては第1号となる「日立の樹」に選ばれることになりました。

ただ、当時のスタッフは、世界の木をめぐりながら多くの木を紹介していくことを考えていたため、3代目(1979〜1980年)から5代目(1982〜1984年)まで、約2年ごとに木を代えて「日立の樹」CMがつくられました。

ところが、視聴者から「モンキーポッドのCMをまた見たい」という声が多く寄せられるようになり、6代目CM(1984〜1989年)から、モンキーポッドが再登場することになりました。以来、つくり手も考えていなかった長寿CMとなり、時代を超えて日立のイメージを伝え続けることになりました。

「日立の樹」CM初となるハイビジョンによる撮影

8代目CMの放映開始から約3年、9代目CMの企画が動き出すきっかけとなったのは、この時期に急速に普及し始めたハイビジョンでした。よりクオリティの高い映像で「日立の樹」の姿を残しておきたい…。企画段階で出された、さまざまなアイディアから選ばれたのは、美しい朝焼けから始まる「樹と光」をコンセプトにしたものでした。

明けてゆく大空に始まり、時間の経過とともに彩りを変える光のなかで、さまざまな表情を見せる「日立の樹」…。位置を固定したカメラが捉えた、どっしりとした映像は、ハイビジョンならではの美しさの仕上がりとなっています。

このCMの撮影が行われたのは、2004年の12月でした。ハワイは雨季にあたるため、撮影テーマの「樹と光」にふさわしい天候に恵まれるか、日本からのスタッフは、不安を抱えながらハワイに向かいました。

不安は取り越し苦労に終わりました。現地では期待以上の天候に恵まれ、予定の5日間で撮影を終えました。収録した映像は50時間以上にも及びます。ハワイのスタッフによれば、雨季にこれだけ順調に撮影ができたのは珍しいことだと。「日立の樹」が、撮影スタッフを歓迎してくれたのかもしれません。

当時のスケジュール表を見ると、毎朝4時から準備が始まり、撮影は、夕方の6時過ぎまで行われました。複数のカメラを用いて、1台のカメラは樹の全景を捉える場所から常時カメラを回し続け、もう1台は幹や葉に寄りながら、光と影の織りなすダイナミックな動きや、樹の周辺に集まる鳥たちの姿を追いました。

ハワイロケを終えてからは、膨大な映像の編集が始まりました。撮影した時間以上に時間をかけた映像編集作業には、ハイビジョンならではの苦労がありました。

夜明けから日没までの一日の光の変化を表現するため、CMでは早回しをした映像が使われていますが、早回しをすると、樹に集まってくる鳥たちが、せわしく動く「黒い点」のように見えてしまうのです。これまでのカメラでは映らなかった小さな鳥たちの動きが、ハイビジョンではしっかりと映るためでした。スタッフは、コンピューター上で、ひとつずつ画像の調整をしていきました。

こうして、一日の光の変化を中心とした「樹と光」編と、頭の赤い鳥や虹の映像が印象的な「虹」編、2種類の9代目CMが制作されました。

シリーズ初となるアカペラによるCMソング

映像の編集に並行して、「日立の樹」テレビCM始まって以来のイメージチェンジとなる、CM曲の録音が行われました。「この木なんの木…」で始まるおなじみのCMソングは、初代CMから使われ、これまで、シリーズ途中でアレンジの変更はありましたが、歌声は、そのままでした。

新しいCMは映像の雰囲気が大きく変わるため、スタッフは、それにふさわしいCMソングを求めていました。表現したかったイメージは、大地と空の間で、ゆったりと時を刻んできた樹から伝わってくる生命感。何組かのアーティストを候補に検討を進め、若手コーラスグループの「INSPi」が選ばれました。

企画の段階では、新しいCMソングをアカペラ(伴奏なし、または、簡単な伴奏による歌唱)にすることは決めていませんでしたが、彼らの若さと透明感あふれる歌声、優しさを感じさせるハーモニーが新しい映像のイメージとぴったりということで、アカペラサウンドによる新しいCMソングが生まれました。

夜明けのシーンに合わせてゆるやかなテンポで始まる曲は、日差しの広がりとともにテンポアップし、幹や枝や葉の映像とひとつになって、樹の生命力や包容力をイメージ豊かに表現しています。

撮影を終えてから約1か月半後の2005年の1月末、「日立の樹」初のハイビジョンCMが完成しました。