2019年3月8日掲載
アロハ! ハワイ在住のライター、酒井美奈です。ハワイの話題をお伝えする「ハワイ便り」は、おかげさまで第100回を迎えました。そこで今回は「日立の樹」があるモアナルア・ガーデンの歴史についてお届けします。
オアフ島のワイキキビーチから車で約20分の場所にあるモアナルア・ガーデンは、古くはハワイ王家ゆかりの由緒ある土地でした。1810年にハワイ全島を統一したカメハメハ大王が、モアナルア渓谷を叔父で相談役だったカメエイアモクに与えて以来、王家の人々に愛される特別な場所となったのです。今も公園内には、ハワイ古来の主食であるタロイモの水田があり、当時の暮らしを思い起こさせます。
王家の中でもこの公園を気に入っていたのが、1863年に即位したカメハメハ5世でした。王子時代の1850年にはコテージ式の別荘を建て、友人たちを招いてフラを楽しんだと伝えられています。今も公園にある別荘は、木造平屋建てのハワイ式の建物ですが、内部にはビクトリア調の装飾も見られ、幼い頃から欧米諸国を訪問していた影響がうかがえます。
1884年にカメハメハ王家直系の最後の子孫であるバーニス・パウアヒ・ビショップ王女が亡くなると、この土地は王家と親交の深かったサミュエル・デーモン氏に譲られ、王家の地から地域に開放された公園へと生まれ変わりました。そして、日本の庭園や茶室、中国風の建物など世界中の文化がとり入れられたのです。
公園を作るために世界各地から植物も運ばれました。そのときはるばる南米からやってきたのが、モンキーポッドだったのです。ハワイの温暖な気候に合ったのか、この時のモンキーポッドはのびのびと成長しました。現在、モアナルア・ガーデンにはたくさんのモンキーポッドがあり、その多くは樹齢130年以上を迎えます。
テレビに初めて登場して以来、「この木なんの木」のメロディーとともに愛されてきた「日立の樹」。45年以上が過ぎた今でも、この木を見るために、毎日多くの人がモアナルア・ガーデンを訪れています。そしてこれからも「日立の樹」は、まぶしい日差しとゆったりとした風を受けながら、わたしたちを見守ってくれることでしょう。
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