2021年2月10日掲載
アロハ! ハワイ在住のライター、酒井美奈です。今回の「ハワイ便り」は、「日立の樹」1年のサイクルについてお届けします。
(1月17日現在、モアナルア・ガーデンは一時休園中のため、過去の写真を使用して構成しています。)
常夏のイメージが強いハワイにも、ゆるやかな季節の移り変わりがあります。乾季にあたる5月〜10月は晴天の日が多く、特に8、9月頃は平均気温が23度、最高気温が31度を超えます。逆に11月〜4月は雨季となり、なかでも1、2月は最高気温が27度程度と少し涼しさを感じる陽気になります。
モアナルア・ガーデンにあるたくさんの植物は、季節に合わせて花を咲かせ、実をつけます。もちろん「日立の樹」も例外ではありません。
「日立の樹」はモンキーポッドという豆科の常緑広葉樹です。紅葉はせず、1年を通して緑色の葉を茂らせます。シダに似た葉は朝に開き、夕方になると閉じます。また、雨の降る前にも閉じるという特徴があります。
「日立の樹」の花が咲くのは5、6月頃と11、12月頃の年2回です。中心は白く、外側に向かって濃いピンク色になっていく繊細な色合いの雄しべを持つこの花は、美しい緑の葉とのコントラストがとても印象的。大きなモンキーポッドの木を華やかに彩ります。
モアナルア・ガーデンでは「日立の樹」以外にも多くのモンキーポッドの木がピンク色のつぼみをつけます。日当たりなどの条件によって、花が咲くタイミングは少しずつ異なります。
1、2月のちょうど今頃、花の季節を終えたモンキーポッドは、種の入った緑色のさやをつけます。このさやは、やがて深い茶色に変わり、枝から落ちていきます。
樹齢130年以上といわれる「日立の樹」は、地面と水平に力強く広がる枝が特徴です。この枝にたくさんの葉が茂り、つぼみをつけて花が咲き、さやをつけて落とす……。「日立の樹」は変わることなく、モアナルア・ガーデンで静かにこのサイクルを続けているのです。