2021年8月5日掲載
アロハ! ハワイ在住のライター、酒井美奈です。今回の「ハワイ便り」は、オアフ島のモアナルア・ガーデンについてお届けします。
(現在、モアナルア・ガーデンは一時休園中のため、過去の写真を使用して構成しています。)
「日立の樹」があるモアナルア・ガーデンは、オアフ島のモアナルア地区にあります。モアナルアは、オアフ島でも特に多くの神話が残る、古くからの歴史ある土地です。古代にはメネフネという人々が住み、神話の中のフクロウたちがほかの島々から集まったといわれます。火山の女神ペレと妹のヒイアカが滞在したという言い伝えもあります。
海と山に囲まれたモアナルアは、自然の恵みあふれる豊かな土地です。かつてこのエリアには、海水を利用した魚の養殖池や、ハワイアンの主食タロイモを栽培する池が数多くありました。また、古代の聖地だったヘイアウも点在していました。モアナルア・ガーデンには、今もタロイモの池があり緑の葉が生い茂っています。
17世紀になると、オアフ島はカクヒヘヴァ王(Kākuhihewa)の下、平和な時代を迎えます。人々に愛され尊敬された王は、モアナルアの土地をフラと詠唱の中心地とし、以来モアナルアはハワイの文化を担う重要な役割を果たすようになります。その伝統は現代にも受け継がれ、モアナルア・ガーデンでは、1978年から2016年まで、プリンスロットフラフェスティバルが開催されていました。
1810年、カメハメハ1世がハワイ全島を統一します。モアナルアは、カメハメハ1世の敬愛する叔父に譲られ、その後、王家の人たちの間で大切に継承されていきます。フラの復興に尽くしたプリンスロット(カメハメハ5世)が1867年に建てたサマーハウスは、今もモアナルア・ガーデンに残り当時の様子をしのばせます。
1884年、モアナルア・ガーデンは、パウアヒ王女から、夫のチャールズ・ビショップのビジネスパートナーだったサミュエル・デーモンへと譲渡されます。サミュエル・デーモンは、モアナルア・ガーデンをハワイの人々の憩いの場にするため、世界各地から樹木などを取り寄せて植えました。「日立の樹」も、そのころに中南米から海を渡ってやってきました。パーク内にある中国風の建物は、当時、客人をもてなすために使われていました。
現在、モアナルアは住宅地そして商業地として大きく発展し、姿を変えました。けれど、王家からサミュエル・デーモンに託され、一般に公開されるようになったモアナルア・ガーデンは、このエリアの豊かな環境と歴史を守る大切な役割を果たしています。
そして日立は、「日立の樹」が茂るモアナルア・ガーデンをハワイの魅力あふれる憩いの場として保全していくことに協力しています。